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カンファレンス (国内) WEB上Q&Aサービスへ投稿質問を用いた認知症介護に関する介護者の情報ニーズの探索的分析

小沢 彩歌(滋賀医科大学)、平 和也(滋賀医科大学)、村山 太一(NAIST)、藤田 澄男、伊藤 美樹子(滋賀医科大学)、荒牧 英治(NAIST)

第11回日本ヘルスコミュニケーション学会 学術集会

2019.9.21

【背景】  認知症者の介護は、行動障害と精神症状(BPSD)のため介護負担が非常に大きい。インターネットが普及し、高齢者の利用が一般化する趨勢において、Web上で介護者が認知症介護についてどのような情報ニーズを抱いているか調査した研究はない。 【目的】 Web上のQ&AサイトYahoo!知恵袋の投稿質問を分析し、認知症者の介護者が抱く情報ニーズを明らかにし、介護者が悩みを相談しやすい社会情報環境整備に資することを目的とした。 【方法】  Linear SVCを用いて、Yahoo!知恵袋の「福祉、介護」カテゴリーに2013年~2018年に投稿された質問から、認知症者の介護者が投稿した質問3527件を抽出した。ipadic-NEologdを辞書としMeCab0.996で18516語の単語に形態素解析を行った後、Word2vecで単語をベクトル化し、UMAPで2次元にしたものをEmbedding Projectorで可視化し、その内容を質的に解釈した。 【結果】 “認知症”で全体像を見ると、[BPSD症状(徘徊、暴言、暴力、妄想)、治療(内服、リハビリ、受診、入院)、制度利用(介護認定、介護サービス)]の3つのクラスタが確認された。そのうちBPSD症状に注目すると、“徘徊”:[夜間,事故,失禁,夜,転倒,妄想]、”暴言“:[妄想,暴れる,暴力,態度,接す,殴る]、”暴力“:[吐く,認知症,暴言,限界,夜間,幻覚]、”妄想“:[被害妄想,物忘れ,暴言,幻覚,行動]の4つのクラスタが確認された。 【考察】  認知症は、重症度によって症状が変化するが、今回の分析で全体像から捉えられたBPSD症状は、中等度~高度(暴力や暴言等のような易刺激性や興奮から生じる症状)が多く、反対に軽症(鬱や不安)は少なかった。認知症が進行し深刻な状況となり、介護負担を強く感じてWebで相談している者が多いと推測する。