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WORKSHOP (DOMESTIC) Wi-Fi RTTを用いたデバイスフリー複数人屋内測位

須ヶ﨑 聖人 (東京工業大学), 坪内 孝太, 西尾 信彦 (立命館大学), 下坂 正倫 (東京工業大学)

情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会 (IPSJ SIGUBI)

September 30, 2020

屋内における位置情報は,ユビキタスコンピューティングの基盤技術として着目されており,その 中でもWi-Fi 信号を用いた屋内位置の推定手法は実用性が高い技術として議論されている.Wi-Fi を用い た屋内測位技術として,近年IEEE 802.11mc 規格として規定されたRound trip time (RTT) は,一般の端末 でも容易に使用可能となったため,実用性の観点から大きく着目されて始めた技術である.現在,RTT に より計測される端末とAP 間の高精度な距離測量を用いた端末位置の屋内測位の議論が数多く行われ,高 精度測位の実現を目指している.一方,現在,社会ではCOVID-19 の影響により,濃厚接触者やクラスタ, 混雑の検知の観点で,部屋レベルの複数人の屋内位置の推定技術の需要が大きく高まっている.この問題 設定の特徴として,測位対象者が端末を持っているとは限らず,端末保持者に対する測位では対象者全体 の測位が不可能という問題がある.本研究ではWi-Fi RTT の新たな応用手法として,RTT 情報を用いたデ バイスフリー複数人屋内測位を提案する.この手法は,対象環境に基地局と端末を複数設置しセンサとし て使用することで,対象環境における人の密度推定を実現し,対象環境内の複数人の人の位置をデバイス を持たずとも検知する技術である.提案手法の特筆すべき点として,一人が環境中にいるデータのみの学 習で,複数人の測位モデルの構築が可能な点が挙げられる.2020 年3 月に取得した,35 平米の室内に9 個の基地局および6 個の端末を設置した環境における1 から3 名を対象とした実験により,提案手法が一 人が環境に存在するデータのみの学習で,複数人の屋内位置及び人数を高精度に推定できることを示す.